目が覚めると、あたしは保健室にいた。


「あら、三宅さん起きた?」

「あ…はい。もう大丈夫です。戻ります」

「そう。具合悪くなったら来なさいね」


保健の先生の言葉を背に保健室を出ると、結人が壁にもたれかかるように腕を組んで立っていた。


「…結人が運んでくれたの?」

「…」

結人は答えない。

「…もう大丈夫だよ」

それを証明するように、わざとおどけて力こぶを作ってみせる。


…いつもの結人なら指を切ったくらいで

「梨穂、大丈夫っ?!」

って、なきそうなくらい心配するくせに、今は無表情で、逆に怖い。