「ちょっ、ここじゃヤダっ」

結人の腕の中でじたばた暴れると、ちょっとすねた。

「梨穂…俺、変質者じゃないんだけど…」

「うん」

あぁ…自分がいやだ。

なんで、素直になれないんだろう。

本当は結人の腕で抱きしめられるのは好きなのに。

ぎゅっとされると、とても安心する。


「ま、いいや。腹減ったし、いこ?」

「…うんっ」

結人は王子様スマイルで微笑むとあたしの手を取って屋上へ向かった。


…やさしいよ、結人。

なんで、あたしに愛想尽かさないの?