【短】甘々すぎるカノジョとカレの(仮)

「ど…どうしよ……なんでぇ?」

作り始めて約一時間後。

あたしの悲痛な声がキッチンにむなしく響く。

あたしの目の前には、無残なカンジの生チョコ。

「な、なんでこうなったんだろ?

で、でも結人クンへの気持ちは伝わる。たぶん…きっと」

さすがの百合ちゃんもちょっと引きつり顔。

だってそうだよ、百合ちゃんのは形もきれい。

その隣に並ぶあたしのチョコは形が崩れたりしていて、あたしのがさつな面が見事に出ている。

百合ちゃんは物は試しとばかりに、あたしのチョコをひとつ口に運ぶ。


「百合ちゃん、それ食べちゃだめ!絶対激マズだし、結人にも渡せないよ!」

そのときすでに遅し。

無残なチョコは百合ちゃんの口の中に消えていた。