―奏side―

学校が終わった。



俺は、ちょっとイジワルしてやろうという性悪気分(っていっても杉谷程じゃねぇけど)で杉谷に声をかけた。



「杉谷さん、帰ろう」

「えっ!?神城くん!?彼氏ってまさか、神城くん!?」



杉谷め。少し恥ずかしい思いをさせてやる。



そう思ってたのに、杉谷は予想外の反応をした。



「そうだよ、神城くんが私の彼氏。あれ・・・前の彼氏と別れて神城くんと付き合ったって、言ってなかったっけ?」



何だコイツ・・・。



すげぇな。平気でウソつきやがった。しかも涼しい顔して。



「あ・・・そう。神城・・・くんね。まぁ、人は見かけによらないって言うし・・・うん、そうだね」



何だこの女。



何が言いたい。確か、水谷とか言ったっけな。



「あ、あの、僕やっぱ一人で帰るよ。女の子同士の方がいいよね」



俺はそう言ってその場を抜けた。



だって、別に杉谷と帰りたいとか思ってたわけじゃねぇし。ちょっと虐(いじ)めてやろうって精神だったからな。



それにしても、この表キャラキモ過ぎ。



しょうがねぇけど。



だって、あの顔でこの口調は無いだろ。



その時俺は、背後で何か言われてる事に気づかなかった。



「あいつマジウザい」



という陰口を言われてるなんて、ミジンにも思ってなかったんだ――。