「今年は梓織梨に決めてもらいたいなぁ~」

「はぁ!?何であたしが!!」



あたしは、梓織梨にそっと耳打ちをする。



「あたし、クラブ行きたいんだけどね、あたしのこの猫かぶりな性格だと、『クラブ』って感じじゃないでしょ?」



梓織梨はため息をついて「分かったよ」と小さく言った。もちろん、取り巻き達には聞こえていない。



「あたしが決めてもいいけどさ、久留巳とは合わないよ?」

「いいよ。どんなの?」



あたしと梓織梨は必死の演技。



でも、まんまとみんなこの芝居に騙されてくれた。



あたし達、女優になれるんじゃね!?



「クラブがいいかなぁ~」

「クラブ!?久留巳ちゃんとは合わないよ?」



取り巻きの一人、悠璃(ユウリ)が言った。



「悠璃ちゃん、いいよ。あた・・・私が梓織梨にお願いしたんだもん。じゃあ・・・クラブにしよっか。私、クラブ初めて~」

「あたし、いいクラブ知ってるよ。そこ、予約しようか?」

「わぁ!マイマイ一押しクラブだったら間違いナシだね!じゃあ、お願いしてもいい?」

「任せて~!」



マイマイこと舞唯(マイ)がお店を予約してくれる事になった。



「じゃあ男の子も数人呼ぼーよ!」

「あっ・・・今年は女の子だけがいいかな・・・。ごめんね?」

「久留巳ちゃんが言うんだったらしょうがないやぁ!」



取り巻きの藍南(アイナ)が男子を呼ぼうとしたので慌ててとめた。



男子も入れたら、奏が妬きそうなので!


(そういえば、奏のジェラシーってまだ見た事ないな・・・)