「奏・・・」

「・・・」



何で、何で黙るの?



恐いよ・・・。ねぇ奏、あたしから離れていったりしない?



「い・・・今の・・・誰?」



あたしは勇気を出して言ってみた。



奏は、しばらく黙ってから「・・・元セフレ」って言った。



元セフレ?



何、それ?本当に“元”なの?



わかんないよ・・・。



それから、奏はゆっくりと、今の電話の内容を話してくれた。



ちょっとだけ解ける恐怖。



「奏・・・。あのコの所、行くの・・・?」

「行くわけねぇよ、俺は久留巳だけだ」



奏の言葉を、あたしは素直に信じていいの?



いいんだよね?



あたしは奏にギュッと抱きついた。



奏も優しく、でも力強く、抱きしめ返してくれた。



「好き・・・。大好き・・・」



奏は、返事の代わりに、優しい、優しいキスをしてくれた。



「俺も・・・好き」



奏の、めったに言わない“好き”に励まされたよ。


信じてるからね。