―久留巳side―

目が覚めたら、隣に奏がいなかったから慌ててリビングに向かったら、奏がケータイで誰かと話していた。



でも、話の内容までは聞こえない。



あたしは「奏・・・」と声をかけた。



奏は驚いたような顔をして、あたしの顔を見る。



その時、電話から超デッカイ声が聞こえた。



しかも、女の人の声・・・。



何て言ってるのか、大声すぎてわかんない・・・。



でも、奏には分かったみたいで「うっせぇバカ」と言っていた。



「誰?」と聞きたくても聞けない。



恐い。



だって、あの声、柚子ちゃんとか神奈ちゃんの、品のある声じゃなかった。エロい声だた。



だから、昔の彼女とか・・・。浮気相手とか・・・。



聞きたいことが聞けなくて歯がゆい。



「とにかく無理だから」

<えぇー!ねぇ、お願い!>



今度は聞こえた。



<んもぅ。奏は変わってないんだから❤でも、あたし、諦めないよ>



電話相手はそう言って一方的に電話を切った。



奏は少し怒ったような顔をしながらケータイをバン!と机に置いた。



あたしは、そんな奏を黙って見てた。