「・・・誰」



俺は少々ぶっきらぼうに言った。



<あたしよ!あたし!覚えてないの!?>

「・・・だから誰だ」

<本当に覚えてないのね!真希だよ、真希!>



真希って・・・。



「あの真希か!?」

<だったらどの真希なのよ・・・>



俺は、信じられない思いだった。



・・・中学の時のセフレで、年上の女だ。



俺が中三の時にスッパリ切って、それ以来連絡をしていない。



あの時真希は大学四年だったから、今は社会人だな・・・。



<あのさ、またより戻さない?この就職難であたし、いまだに採用されなくてー。イライラするからヤッてストレス発散しようと思ってるんだけど。奏、最近ストレスなんかない?>

「俺、もうそういうのやってないし、ストレスもない。可愛い彼女がいるから充分だ」

<彼女!?奏もそんなの作るようになったんだー。ようやく恋に目覚めたのね?初恋は叶わないとか言ってるけど、あれ絶対ウソだね~>



こいつは、前もこんな大声だった。



ただし、ヤッてる時、本当に色っぽい声出すから、そのまま続けていた。



でも、俺はあんなギットギトの真っピンクの声を出す女より、久留巳の桃色の声の方が好きだ。



それにしても、最悪なタイミングで電話をかけてきやがった。



<ねぇ、浮気って事でヤんない?>

「断る。他の男捜せ」

<奏じゃなきゃイヤ。年下のクセにすっごいテクニシャンなんだもん>

「無理だ」

マジうっぜぇ。