「奏~!はい、お皿」



あたしは奏にお皿を渡す。



奏は黙ってそれを受け取って、鍋の具を中に入れた。



そして、あたしに返す。



あたしは、「ありがと」と言って、箸を持った。



そして、いざ「いただきます」しようと、皿の中を見た。



「げっ」



皿の中を見て、あたしは思わずそんな奇声を発してしまった。



「どうしたんだよ?」



奏は、イジワルな顔で聞いてきた。絶対知ってて言ってる。



あたしは黙って奏を殴る。



だってさ・・・。



鍋なのに、汁が全く入ってないんだもん!



全然暖まんないじゃん!



「あたしのもさ・・・」



神奈ちゃんがそう言って皿を見せてきた。



神奈ちゃんのお皿の中にはキノコ、キノコ、キノコ・・・。



大量のキノコが入っていた。



しかも、全部エノキ。



他にもキノコはあるのに・・・。

「奏のバカ!」



あたしと神奈ちゃんは二人でハモって、奏の皿に汁無しキノコ大量を入れてやった。



そして、鍋の中に残っている具は、二人で頑張って食べた。



こうして、奏の鍋奉行事件は終わった。