「うわー。いっぱいある~。どれにしようかな~」



ショーウィンドーの中のクレープを真剣に選んでる久留巳。



俺は即、一番安い『いちごクレープ』にした。



久留巳は「へぇ、地味なの好きなんだね」とか言ってたけど、そうじゃねぇんだ。久留巳の誕生日が一ヵ月後にあるらしいから、それに向けて節約してるわけ。バイトなんか死んでもイヤだし。



っていうか、久留巳ってもしや、プチ天然?



そんな訳ねぇか。



「ねぇ、あたし、コレにした!」



久留巳が指指したのは、一番高い『抹茶チョコいちごソフトもっちクレープ』とか、意味のわかんねぇ名前のヤツ。



「高っ」とか思ったけど、これは男の意地で払わねぇとな。



うん、いざとなったら「バイト」とかいう手段があるじゃないか。



そんな事を思っていたら、横の久留巳が当たり前の用に、分厚くてすっげぇ派手な財布を出しているではないか!



これはイカン。



「俺が出すから」

「えっ、いいよ」

「お願いだ。男の意地で出させてくれ」

「えっ、じゃあ・・・お願い」



ふぅ。普段言わない「お願いだ」という言葉まで言ったかいがあった。



だけど、久留巳とクレープ屋の店員の顔が赤くなってる・・・。



おい店員。何だその顔は。久留巳なら可愛くても、お前は顔赤くすんな。



とか思っちゃう俺。



とりあえず、すっげぇペラペラの財布を開けて、金を二人分払った。