―奏side―


思わず杉谷の腕を掴んでしまった。



「待てよ」



つい、素の自分を出してしまった。



自分でも、何が『待て』なのか、よく分からない。



何で腕を掴んだのかも。



「・・・何」



杉谷はこっちを振り向かずに言った。



「・・・いや、何でもないです」



表の自分に戻ってそう言った。



杉谷は「・・・そ」と言うと、屋上を出ようとした。



だけど、走って俺の元に走ってきて――



「あたし、神城の事が好き!」



何て、信じられない事を言った。



えっと・・・。



俺は、何て言えばいいのかな?



何て思ってる俺は超混乱。



「あの・・・それって、告白?」

「そうだ、バカ」



なぜか怒られた・・・。



「あの・・・俺も・・・好きだから」



勇気を出してそう言った。