校長の部屋は、エアコンがきいててなかなか温かい。



あたしはドキドキしながら、校長の前にうつむきながら立った。



「どうぞ、お座り?」



女王様みたいな口調の校長に従い、あたしは安そうな緑のソファに腰掛けた。



「そのソファ、センスがないでしょう? あたくし今度、革にしようと思ってるのよ。・・・ってそんな話しはいいわね。それで? 今日来た理由は? 留年の取り消しと追試ならやらないわよ」

「いえ、そうではなくて・・・」

「じゃあ何なの?」



このオバサン・・・。



怖いんですけどっ!



「実は・・・妊娠しました」

「・・・妊娠?」

「はい。先月発覚しました」

「それでは、中退いたしますの?」

「そうしたいと思っております・・・」

「そう・・・」



校長は立ち上がって、むこうにある机の引き出しを開けて、何か書類を持ってきた。



「これをご両親に渡してくださるかしら?」

「わかりました・・・」

「それでは、あたくしは会議がありますので失礼しますわ」



あっさりとカバンを持って部屋を出てった校長。



あたしは取りのこされる・・・。



でもとりあえず、職員室と直結してるこの校長室の中にいるあたしは、職員室の人に注目されてるわけで・・・。



「つ、塚本(ツカモト)先生・・・」

「なんだ?」

「あの、話し聞いたと思うんですけど・・・妊娠したので中退させていただきます・・・」

「・・・わかった。クラスのみんなにも話しておくんだぞ?」

「はい・・・」