[旧]猫かぶりなカップル

俺の頭の中にあるのは“緊張”の二文字だけ。



ここは久留巳の将来にも関わる大事な場面なわけで、失敗は許されない。



「久留巳のお腹に子供がいます」

「・・・え?」

「ですから久留巳と結婚させてください」

「・・・ごめんね、意味がわかんないや」



そりゃそうだろう。



いきなりそんな事言われても困るはずだ。



でも意味を分かってくれないと困る。



「つまりは、出来ちゃった結婚しますと・・・」

「そうなりますね・・・」

「あ、あたしは大歓迎だけど・・・」



頭の整理がついたのか、久留巳母はそう言ってくれた。



「ありがとうございます!」

「ただ、奏くんっていくつ?」

「17です」

「そっか・・・。誕生日はいつなの?」

「4月です。誕生日が来たら籍を入れるつもりでいます」

「うん、分かった。後は奏くんのご家族と恵向しだい。あとは、羽亜の了承も取らないと」

「あたしも大歓迎だよ!」



よかった・・・。



この家族は暖かい。



「とりあえず、今日はここに泊まってね」

「はい? ・・・わかりました」



それから、帰ってきた久留巳の今の父親に事情を話すと、快く許してくれた。



俺、この家族好きかもしれません。