「じゃあ今日のノルマはこれで終わり。お疲れ様でした～」



一日が終わるとホッとする。



音歌さんに手を振ってからケータイを出して奏に電話した。



「やっと終わったよ～」

<おつかれ>

「今からいっていい？」

<今から？ 遅いから迎えに行くけど>

「わかった」



奏の顔を急に見たくなった。



今は奏に抱きしめてもらいたい・・・。



奏にキスしてもらいたい・・・。



しばらくしてやって来た奏に抱きついてから奏の家まで手をつないで歩いた。



「あの先生マジ怖い・・・」

「らしいな」

「分かるからいいんだけどね。口調が不良だから・・・。あの人、絶対高校時代不良だったって」

「そんな怖いわけ？」

「怖いもんじゃないよ。今度来てみる？」



無理やり取り付けた約束の元、次の日。



「あの・・・」

「なぁに？」

「かな・・・彼氏が音歌さんのスパルタを見たいって言うのでつれてきました・・・」



音歌さんが奏を見た。



一瞬表情が変わる。



でもすぐに元の表情に戻ってから一言。



「そんなにスパルタじゃないわよ？ 久留巳ちゃんは彼氏に何を教えたのかしらねぇ・・・」



いやいやっ！



スパルタですから！



あれをスパルタと呼ばずになんと呼ぶ！