ママに探してもらった家庭教師。



現役大学生。



小野寺 音歌(オノデラ オトカ)さん。



それはそれは美人な方で。



「お願いします・・・」



ドキドキしながらそう言ったらニコッと微笑まれた。



「じゃあ始めるよ~」

「お願いしますっ!」

「うふっ」



怪しげに笑った音歌さん。なんか怖い。



それから受けた授業はスパルタ中のスパルタだった。



怖い怖い。



家庭教師だったら別にスパルタじゃなくていいってば・・・。



「あぁ!? この前も同じ間違いしただろ! バッカじゃねぇの? ここは公式こう当てはめんだよ。それでここをこうする! ノートにでも書いとけ」



これ、家庭教師っつーか不良じゃありませんか・・・?



「ほらまた同じ間違い! このままじゃ留年だぞ」



『留年』・・・。



あぁ、あの一文字違うって奴か・・・。



あたしの頭はそんな事も判断できない状況だった。



「おぉっ! やれば出来んじゃん!!」



でも、何回も間違えたところを出来るようになると褒めてくれる。



それだけが救いだ・・・。