―奏side―

デートの日が来た。



別に、こんな奴とデートなんかしたいわけじゃねぇ。



だけど、同じ学校の奴に俺らの事をバラしてぇ。



あいつの株が下がれば万々歳だ。


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「・・・お待たせ」



少し不機嫌そうな声でやってきた杉谷。



不覚にも、少しドキッとしてしまった。



・・・って、何でだ?



ないだろ、うん、気のせいだ。



っていうか、お洒落すぎだろ、杉谷。



今日の杉谷は、白いニットのワンピースにふわふわの白いピアス。細くて白い腕には、金色のブレスレッドがついていた。
長くてふわふわの栗色の髪が印象的だ。



「どこ行くの?」

「最近出来たケーキ屋さん」



俺がそう言うと杉谷は顔をしかめた。



――可愛い。



・・・はぁ!? 可愛い!? まぁ顔は可愛いけど・・・。



うん、そうだ。顔が可愛くて「可愛い」って思ったんだ。



それ以上の意味はねぇよな。何か今日、調子狂う。



「どうしました?ケーキ、嫌い?」

「ううん、嫌いじゃない。むしろ好き。だけどさ・・・」



『並ぶし、同じ学年の子いっぱいいる』だぁ!?

好きにそう思っとけ。それが狙いで来たんだからな。