―神奈side―

あたしの好きな人。



ケータイ小説に登場してくる真湖斗。



とにかくカッコイイ。



周りは「どこがいいの?」とか言ってるけど、何が悪いのかわからない。



でも、真湖斗を生み出した作者自体が真湖斗のことをよく思ってないみたいだから、あたしは真湖斗を生み出した作者が嫌い。



好きなのは真湖斗だけ。



そんなあたしは現実世界に好きな人がいるわけはなく。



二次元世界の真湖斗が好きだ。



そして今日はクリスマス。



妄想で真湖斗とクリスマスを過ごす。



あたしって頭がおかしいと自分でも思う。それでもやめられない。



――これが“恋”なんじゃないかと思う。



恋した事なんて小学校以来一度も無い。



小学校のときに真湖斗に出会ってしまったから、それ以降恋なんてしてない。



真湖斗よりもカッコイイ人がいないから。



周りは「あの人超カッコイイ!」って言ってる人がいるけど、あたしにはよさがわからない。



「あんたが言ってる『真湖斗』よりもかっこいいよ」



友達は嫌味っぽくそう言うけど、そんなの知らない。



あたしにとっては真湖斗が一番だから。



でも、真湖斗は妄想でもあたしと付き合うことは出来ない。



真湖斗は彼女ラブで、あたしはそういうところも好きだから。



その彼女以外と付き合うなんて、あたしが許さない。