リビングに入ったら、驚くことに、男の人とママがお互いの方にもたれ合って寝ていた。



今までこんなこと、無かったのに――。



今までのママは、ヤっておしまいって人だったから・・・。



――本命なんだね



とっさにそう感じたあたしは、ひとまず自分の部屋に退散した。


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「久留巳!ケータイのバイブ鳴ってるよ!多分電話!」



ママにそう言われて目が覚めた。



――あたし、あのまま部屋で寝ちゃったのか。



急いでケータイが置いてあるリビング(正確にはケータイが入ってるスクールバッグが置あるリビング)に行った。



スクバの中からケータイを発掘する。



「もしもし!」



急いで電話に出た。



<杉谷さん?>

「うん・・って、神城?」

<そうだよ>

「何であたしのケータイ知ってんの!?」

<友だちに教えてもらいました>

「友だちって・・・。取り巻き?」

<いいえ。佐倉(サクラ)さんに教えてもらいました>



佐倉とは、梓織梨の名字だ。



「で、何の用?」

<今度デートでもと思って>

「はぁ!?何でアンタなんかと!」

<周りにカップルと見せつけるんです>

「あたし達、好き同士じゃないんだよ!?」

<知ってます。でも・・・バラすよ?>


・・・。見なくても分かる。きっと今、神城は悪魔の微笑みを浮かべているのだろう。


「・・・分かったわ」