―奏side―

キーンコーンカーンコーン



今日も、うるさい時間が始まる。



俺は、神城 奏(カミシロ カナデ)。高校一年生。



「久留巳(クルミ)ちゃん!!」

「俺とデートしない?」

「ねぇ、あたしと明後日、買い物行かない?」



あぁ、うるせぇ・・・。



女子も男子も寄ってたかる奴は、杉谷 久留巳(スギタニ クルミ)だ。



でも絶対あいつ、猫かぶりだよな。何かわかる。



まぁ、俺も猫かぶりみたいなもんだ。いや、俺は本性を隠しているから猫かぶりではないな。



「神城くん」



俺が席についたら久留巳が、数人の男女を連れて俺のところに来た。



「今度の日曜日、みんなで水族館行くんだけど、神城くんも行かない?いっつも一人でいるでしょ?」

「久留巳ちゃん優しーっ」



ウザっ・・・。俺、こういうの嫌い・・・。



「ごめんなさい。僕、日曜は用事があって・・・」

「な~んだ。じゃ、また今度ね」



杉谷は、営業用スマイルと思われる笑顔をして去った。



そうだ、さっさと行け。



――俺は、いっつもダサくて冴えない男を装っている。



理由は、女子がうるせぇから。



俺ってイケメンらしい。



自覚はねぇんだけど。