アイドルまっしぐら!!

「毎年、憂鬱だな。この日は。」



卓哉が力なく笑っている。



「……うん、本当に。貰えるのは嬉しいけど、僕たちだけでこんなに食べられる訳がないよね。」



圭悟の言う通りだと思う。



毎年、バレンタインには山ほどのチョコレートがファンの子たちから届くんだけど……



こんなに食べたら、鼻血が出ちゃうよね。




結局、毎年事務所の人とかに持って帰ってもらってる……


……内緒だけど。



「ファンの子たちは、俺たちに本命のチョコレートをくれてるんだよな。」



「そうだよ。僕たちは応えられないけど、それも分かってるはずだからね。」



卓哉と圭悟がそんな会話を続けてて、僕たちは何もしゃべらない。