もうすっかり陽が落ちて、街灯の明かりだけがあたしたちを照らしていた。
大翔もあたしも、帰りはしばらく話さなかった。
その沈黙を破ったのは、……あたし。
「…荷物、ごめんね?持ってもらっちゃって。重いでしょ?」
「……いや。」
「そっか…。重くなったら遠慮なく言って?」
「……あぁ。サンキュ。」
また、沈黙が続いた…。
「……あたし、大翔に"自分の名前好き?"って聞いたでしょ?」
「あぁ…。」
「あたしね、嫌いだった…。」
「…?でもあのとき、好きって……。」
「それは"京月杏"として。"杏月大翔"としては、嫌いだった…。」
「……そっか…。」

