そっか――…

私はティーカップを持ったまま、固まってしまった。


「何だよー!アイツもかよー!」

お友達はボヤきつつ、マスターに珈琲をオーダーした。



そうだよね、王子様だもん。

彼女の一人や二人、いて当たり前か。

私はそんな可能性がある事を、すっかり忘れてた。


自分勝手な話だけど。



だから毎日マリア様にお願いをして、一生懸命頑張ってチョコを作ったら、マツオカさんに思いが届くんじゃないかと、信じて疑わなかった。



私は立ち上がってお会計を済ませ、何事もなかったようにお店を後にした。