僕は、ドキドキしていた。
僕の前で無邪気にはしゃぐエナさんから、目が離せなかった。
エナさんの魅力は、笑顔が綺麗と言うだけではない気がした。
それが何なのか、僕には分からないけれど……。
でもこの時、僕は確かに
「リョーヘイ君!これ見て!凄く大きなベゴニア!綺麗ねぇ!」
このドキドキを
「本当だね、風車みたいだ!」
もう失いたくないと思った。
「カザグルマ?何だかロマンチックね!」
ずっとこうして、二人で笑っていたいと思った。
「わぁ…ブーゲンビリアまである!」
彼女と別れて初めて、一人ぼっちでは笑う事が出来ない事を知った僕は――…


