「そうやってすぐ怒るところも変わんねぇしな」

『うるさい』

また拓海のペースに振り回される。
だから女として見られないんだろうな。

てか彼女とはどんな話するんだろ。
ってこれプライベート機密だよね。
それにあたし、
拓海の彼女のことを意識しすぎ…

すると
「お前、よく一人の世界に入るよな?」
と突然拓海が言った。

『ほっとけ』

拓海にも言われた…
気をつけよ…

そんなやりとりをしているうちに家に着いた。

「じゃ、またあとで♪」

『うん』

なんでテンション高いんだ…?

読めないヤツ。

そう思いながらあたしは玄関のドアを開けて中に入った。

『ただいま』

家には誰もいないのに、つい言ってしまうこの言葉。

この一軒家は高校生のあたしが一人住むのには大きいくらいだ。

リビングに入りスクールバックをソファーに投げる。

これもあたしの癖。

一人って音が少ないから、とにかく音を作りたくなる。

そんなところからこの癖は生まれた。

それより拓海に夕飯作んないと…
って今日はいいんだっけ?

あ、どうしよう…ヤバイ眠い…

今4時か…入学式だったからね。

少しだけなら寝て大丈夫だよね?
(拓海の思考が分からない以上)

うん大丈夫。
寝よ。

自問自答して結論が出たあたしは、
ソファーにあるスクールバックをどかしてそこに横になった。

―…
そしていつの間にか夢の世界へ入っていってしまった。