「…同情してるの?」
僕を見下ろす形で、明日可が呟く。明日可の声が、震えているのがわかった。
「あたしが病気だからって…同情してるんでしょ?やめてよっ!優しくなんてしないでっ!!同情なんて…」
「同情してわりぃかよっ!」
僕は思わず立ち上がった。夜のコスモス畑に、僕の声が響く。
「そんなに悪いかよ!?好きな奴が…好きな奴が病気だって聞いて、何で冷静でいられる?当たり前だろ!?心配すんのだって、同情すんのだって、不安になんのだって当たり前だろっ!?」
呼吸が乱れるのがわかった。
大きく開いたままの明日可の目が、僕を飲み込む様に見つめる。
「…今日明日可が言った事が、明日可の本心でもかまわない。それでも…」
もう一度、明日可の目をちゃんと見た。
「それでも俺は、お前が好きだ」
…伝えたい、僕の気持ち。全てを知って、傷ついて、不安になって、それでも変わらない僕の気持ち。
「…明日可の全てを知ろうとすれば、明日可は離れていくんじゃないかってずっと不安だった。でも…それじゃ、逃げてるだけだって気付いた。今までの明日可も、今日の明日可も、明日からの明日可も、俺にとっては全部本当の明日可だよ!何も変わんねぇよ!」
明日可の黒い瞳が揺れる。
でも僕は、もうそらさない。



