コスモス



「…ごめんね。今更だって思うかもしれないけど…やっぱりきちんと、謝りたかった。あたしはもう大丈夫だから。だから…」

波の引く音とともに、明日可は振り向いた。

「シュウは…もうあたしにとらわれなくていいんだよ。シュウは…シュウは、自分の幸せだけを考えて、いいんだよ」


2人の目が合う。

微かに震える明日可の肩。
固く握りしめた拳。
泣かない様に、必死に結んだ唇。


僕は、そっと明日可の手をとった。

鞄から取り出したそれを指にはめる。

…ずっと渡したくて、渡せなかったそれ。




「これ…」






…明日可がアメリカに行く前に買った、あの指輪だ。

ゆっくりと、僕は口を開く。


「いつか…明日可に会えたら渡そうって、ずっと思ってた。昔は渡せなかったけど…今なら渡せる」


指輪のはまった左手を握りしめる。



「なぁ明日可。俺…これでも強くなったんだよ。あの頃よりずっと…強くなったよ。大丈夫だなんてさ、言わなくていいよ。大丈夫じゃなかったら、そう言っていいんだよ。その時は俺が…俺が、大丈夫にしてやるから。だから…」