……………
海岸沿いを歩く。
乾いた砂に、スニーカーが埋まる。
風が吹き、目の前の茶色い髪がなびく。
全てが、夢なんじゃないかと思う。
そんな僕に、明日可が言った。
「…写真、凄かった。なんか…涙出てきたよ。感動…っていうか…うまい言葉が見つからないくらい」
斜め前を歩く明日可。
どんな顔をして言っているのか、僕にはわからない。
「…全部、明日可に向けてシャッター押してたから…」
一瞬明日可の足が止まった気がしたが、それは気のせいだったかもしれない。
確かめるのが、怖かった。
なにも言わない明日可に、僕は再び口を開く。
「…久しぶり…だね」
少しの沈黙の後、明日可も口を開いた。
「…ずっと、連絡しないで…ごめんね」
「いや…」
…正直、僕は何を言えばいいのかわからなかった。
明日可の気持ちがわからない。
目の前にいる明日可は『明日可』だけど、昔のままの『明日可』じゃなかった。
もう、あの頃みたいな少女じゃない。
…目の前にいる明日可は、大人の女性だった。
僕の知らない、明日可だった。
『今』の明日可の、気持ちが知りたい。



