コスモス



……………

電車を降りて、海の香りのする街を歩く。
僕は海の側のギャラリーを借りた。

地元から少し離れたこの場所が、僕は気に入っている。

しばらく歩いた後、レンガ造りのギャラリーに着いた。
レトロな雰囲気が漂う。
ドアを開けると、少し錆び付いた鐘が鳴った。



「あ、須川さん。お帰りなさい!」

入り口の受付に座っているショートカットの女の子が顔を上げた。
僕は彼女に近づいて答える。

「悪いな、少し遅れた。大丈夫だった?」

受付の帳簿を捲る僕に彼女は言った。

「あ、はい!昼時だしお客さん全然でしたから」
「…それはそれであんま大丈夫じゃねぇな」

数名しか書かれていない帳簿を閉じて、苦笑いをした。

「あはは!昼時だからですって。あ、それより須川さん、お昼食べられました?」
「や、まだだけど…仲村さんは?」

ボールペンを手の上でクルッと回して僕は言う。

「あたしはさっき鳴海さんに変わってもらって、先にいただいちゃいました。須川さん行ってきていいですよ!」

確かに腹はすいているし、昼過ぎにはカズ達も来る。
今を逃したら昼ご飯にはありつけそうにない。