「今秋桜、お祖母さん家に住んでるんだっけ?」
「うん。おばあちゃんと2人で暮らしてる。夏樹は大学で一人暮らししてるからね。大学卒業したら、こっちで暮らしたいって言ってるけど」
秋桜の家は色々あったけど、今は落ち着いているみたいだった。
母親の眠るこの地で家族が肩を揃えて暮らすことができる日は、そう遠くないのかもしれない。
「…早くみんなで暮らせる日がくればいいな」
「うん!」
透ける様な秋空の下、秋桜の笑顔は輝いていた。
みんなそれぞれ自分の道の中で、自分の幸せを見つけ出しているんだ。
「…じゃあ、また」
僕は秋桜に言った。
「うん。明日は個展、見に行くからね」
軽く手を振り合い、僕たちは背中を向けあう。
数歩先に進んだあと、秋桜の声が僕の背中を追いかけた。
「修平!」
僕は振り向く。
少し離れた場所で、秋桜が言った。
「今更かもしれないけど…スズランの花言葉、わかったよ」
…スズランの花言葉。
懐かしいオルゴールの曲が、脳裏をよぎる。
「…『幸福の再来』だよ」



