「時間、大丈夫なの?」
歩きながら秋桜が言う。
「うん、開館は昼からだし。今は、若い子に任せて来てる」
「うわー、若い子だって!プロは言うこと違うね~」
ひひっと笑う秋桜に、「うるせぇな」と笑い返した。
「…でもびっくりしたな。修平が本気で写真やるなんて」
そう呟く秋桜に、僕は言った。
「俺もびっくり。まさか個展開かせてもらえるなんて思ってなかったしな」
サァッと、風が流れる。
「でも、何かを残せる仕事ができてよかった。…残したいもの、沢山あるからさ」
「うん。」と、秋桜が呟いた。
…大学を卒業して、僕は仕事の傍らずっと写真を撮り続けていた。
残したいもの…見せたいものを、全て写真に写してきた。
他でもない、明日可に。
その写真に目をかけてくれたプロのカメラマンの方のつてで、仕事を辞めてカメラ一筋に絞ったのが二年前。
ようやく今日、初めての個展を開くことができた。
「…ごめんね、今日行けなくて」
髪を耳にかけながら、秋桜が呟く。
「今日は…お母さんのとこにいてあげたいからさ」



