「そういや、今日の主役は?」
はっと気づいて、タケが言った。
「開館まで行くとこあるんだってさ」
「え?こんな日に?」
驚くタケに、カズが言う。
「…今日、命日だからさ」
「…あぁ…そっか。そんな時期か…」
納得した様に、タケが呟いた。
外は秋晴れ。
空が、異常に高い。
…爽やかな風が丘をよぎる。
持ってきた花束を置き、墓石の前で僕は手を合わせた。
サワッと、草木の揺れる音が響く。
目をあけて、立ち上がった。
「修平?」
…懐かしい声に、僕は振り返る。
短くなった黒髪が、秋風になびいていた。
目があった2人は、微笑みあう。
「…久しぶり、秋桜」
…手を合わせた後、秋桜は立ち上がって言った。
「…ありがとね、毎年来てくれて。…お母さんも、きっと喜んでる」
僕は軽く笑顔を返す。
今日は、秋桜のお母さんの命日だった。



