「千歌ちゃん達こそ結婚しないの?」
「そうだよ、お前らこそ長すぎだって!」

タケとミキの問いに、誠二がため息をつきながら答えた。

「や、そう思うんだけどねー。なかなかタイミングがねぇ…」
「もー、誠ちゃんいっつもそうだよ。あたしから言っちゃうよ!?」

あははと笑いが周りを包んだ。

「まぁ2人同棲歴も長いしな。今更結婚つってもピンとこねぇよ。」
「確かに。この際できちゃった結婚目指せば!?」

更に笑いが湧き上がる。
昔と変わらない笑顔。

「…結婚かぁ。なんかもう、みんな大人になっちゃったね」

千歌がしみじみと言う。

「うん…懐かしいね。みんなでキャンプ行ったり…」
「なんだかんだ言って、あの頃は楽しかったよなー」

カランと氷の溶ける音がした。


「あの頃は…なんか、精一杯だったな。一つの恋に、精一杯だった」


カップをゆらし、ミキが呟いた。

「相手の一言に一喜一憂してさ、笑ったり泣いたり…なんか、それが…世界の全てだった」


ミキの一言一言に、みんなは耳を傾ける。


「一瞬一瞬が、全てだった。…一生に一度の恋じゃなくても…あの頃は、そうだと思いたかった」