……………
「おはよ!」
駅の改札前に立つ彼女を、僕は久しぶりに見た。
相変わらず綺麗な髪を高い位置でだんごに整え、いつもはめったに着ないワンピースをそのスタイルでいとも簡単に着こなしていた。
「…はよ」
久しぶりだということと前の別れ方の記憶が、僕の返事を鈍らせた。
「はい、これ」
秋桜が差し出した手の平には一枚のチケットがあった。
「え?これ…」
「時間ヤバいし、もう行こ!」
わけのわからないまま、僕は秋桜に引っ張られて改札を抜けた。
…秋桜が渡したのは、新幹線のチケットだった。
…指定席に座り、ちらと周りを見渡す。
時期が時期だからかあまり人はいない。
窓側の席の秋桜を見ると、方肘をつき変わりゆく景色を見つめていた。
状況を理解していない僕に、秋桜はようやく口を開いた。
「…いきなりごめんね」
「や…でも…」
「2日間だけ、あたしにちょうだい」
目線を窓からそらさずに、秋桜は呟く。



