……………

「修平、夏はどうすんの?」

ずずっとお茶漬けをすする音が七畳の部屋に響いた。

「どうするって…俺実家生だから実家戻るとかないし」
「や、そんなことじゃねぇよ。旅行とか予定とかなんかあるじゃん」

空になった茶碗をテーブルの上において、城田は言った。

「そっかー。こいつ内定決まってるんだもんな。ずりーよなぁ、夏満喫し放題じゃん」

あいた茶碗に手を伸ばし、金子がご飯を盛り始めた。
茶碗が一つ足りないせいで空くのを待っていたのだ。

「別に予定なんかねぇよ」

ビールに手を伸ばしながら、僕は呟いた。








…梅雨も終わり、季節は本格的に夏に向かっていた。

学生生活最後の夏。


「あーあ。なにが悲しくてこんなむさ苦しい男部屋で茶漬け食ってんだろ」
「文句があるなら食うな!」
「あぁ!ないないないっす!食わせて~久しぶりの米!」

コントの様なやりとりを繰り広げる城田と金子の横で、僕は携帯を見た。
時間を確認して、すっと立ち上がる。

「わり、俺帰るわ」

財布をポッケに突っ込み玄関へと向かう。



「秋桜さんとこ?」