コスモス



……………


「お帰り」


部屋の前にたつ秋桜に声をかけて、僕は見ていた雑誌に目を戻した。

「へへ、たっだいまぁ~」

秋桜が部屋に足を踏み入れた瞬間、アルコールのにおいが鼻につく。
おぼつかない足取りで僕のもたれかかるベッドに倒れ込む秋桜。

軽くため息をつき、僕は冷蔵庫に向かうために立ち上がった。

「どれだけ飲んだんだよ」
「いいでしょーどれだけ飲んでもっ」

秋桜は僕の差し出すペットボトルを受け取り、それをおでこに当てた。

「んん~っ気持ちい~」

再び雑誌に目を落とす僕に、秋桜が声をかける。

「修平、今日学校にいたの珍しいね」

ページをめくる音が響く。

「今日は教授に渡すものがあったから」
「卒論どう?」
「まあまあ。多分早めにはあがると思うけど」

長くなりそうな会話なので、僕は雑誌を閉じた。

「お前こそ、就活してんの?」
「んー?ぼちぼち?」

僕の肩越しに秋桜がペットボトルをテーブルに置く。

「大丈夫なのかよ。今年こそ卒業できるんだろうな?」
「ばかにしないでよねー?もう卒論も提出しましたぁ!」