……………
「修平」
校舎をでたところで呼び止められる。
僕より先に、城田が振り向いた。
軽やかな足取りで階段を駆け下りてくる。
肩より少し長い黒髪がその拍子にさらっとなびく。
僕と城田の側まで来た秋桜は、さっと髪を整えて言った。
「今日家来る?」
一瞬考え、僕も口を開く。
「ああ、暇だし」
「じゃあ鍵渡しとくから、先入ってて。あたし遅くなるかもしれないから」
そう言って肩から下げたカバンを探り、小さな鍵を差し出す。
それを受け取り「サンキュ」と言う僕を確認した秋桜は、ニコッと笑って再び階段を登って行った。
…秋桜の背中を見つめながら、城田が口を開く。
「…先入ってて、ねぇ」
「なんだよ」
意味深な言い方の城田を僕は睨みつける。
「いや、まるでカップルの会話だなぁと思ってさ」
僕の睨みをよそに、城田は歩き出した。
少し間をあけて、僕もドアを抜ける。
「…そんなんじゃねぇよ」



