……………
「…じゃあ、帰るわ」
あらかた部屋を片付けた後、僕は立ち上がって言った。
せっかく空気の入れ替わった部屋で、彼女はまた新しい煙草を取り出す。
煙が吐き出されるのをみた後、僕はきびすを返して玄関に向かった。
「修平」
彼女の声が僕を呼び止める。
彼女に自己紹介をした覚えはなかったが、僕のバイト先を友達から聞いた時に知ったのかとぼんやり思った。
振り返り、彼女と視線を合わせる。
「また、飲もうよ」
視線をそらさない2人。
僕は口を開いた。
「あんたの名前は?」
煙草を灰皿に押しつけて、形のいい口がキュッと笑う。
「アキオ。秋の桜って書いて、秋桜」
…運命は、動き出していたのかもしれない。
どんなに忘れたくても、忘れたくなくても、たどり着く先はもう決まっていたんだ。
『秋桜』
…コスモスの和名だ。



