新しい煙草を取り出し口にくわえる彼女。
…誰にでもできる?
「…できない奴だっている」
俯いたまま呟く僕を見て、彼女は動きを止めた。
「あんたが今言ったこと、できない奴だっているんだよ。生きることで…精一杯な奴だっているんだよ」
…目をつむる。
こびりついた記憶。
月の光。
白い肌。
大きな傷。
…揺れる、コスモス達。
「…ふぅん、そ。自分はそうだって言いたいんだ」
「ちがっ…」
…はっとした。
彼女の目は、今までのそれとは違った。
遠くを見ている様なそれは変わらないのに、今までになかった悲しさが見え隠れしていた。
逡巡している僕に気付いたのか、「まぁいいけど」と呟いた彼女は、煙草をしまいビールに手を伸ばす。
僕もそれにならいビールをつかんだ。
…全てに蓋をするために、僕は一気にそれを飲み干した。



