「…あーあ、見つかっちゃった。まさか他にもお客様が来るとはねぇ」
状況に不釣り合いな脳天気な声が、夕日に染まる部屋に響いた。
「ま、いっけど」
そう呟いた彼女は、ショートパンツから伸びるしなやかな足を前に出し、すっとデスクから降りた。
肩につくかつかないかくらいの黒髪が、そのひょうしにさらっとなびく。
後ろ髪と同じ長さの前髪をかきあげて、彼女は言った。
「何年生?」
何でもないように傷口をペロッと舐め、手近にあった包帯をくるりと巻く。
「あ…」
つい声を出してしまった僕に、彼女の視線が向けられた。
鋭い視線。
「や…消毒とか…」
思わず口を開いた。
消毒も何もせずに包帯を軽く巻くだけの彼女に、正直驚いたのだ。
そんな僕に向かって、彼女は言った。
「…あたしが聞いたのは、『何年生』かってことなんだけど」
…思わず押し黙ってしまう。
彼女の声、いや、彼女の雰囲気そのものが、僕に威圧感を与えていた。



