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医務室のドアを開けると、ツンとする独特の匂いが鼻につく。
でも僕は、この匂いが嫌いじゃなかった。
大学生になり、僕はたまにここを利用していた。
…正確に言えば、昼寝場所として利用しているのだか。
それまでほとんど保健室的な場所とは無縁の生活を送っていたが、何故だかここは、居心地がよかった。
…多分、白河先生のお陰だと思う。
彼女は僕たちを、『学生』として扱わない。
1人の『人間』として扱ってくれる。
だからこの場所も『医務室』なんて言わないし、僕たちの事も『学生』ではなく『お客様』と言う。
堅苦しくない、ふっと肩の力を抜ける場所を彼女は提供してくれているのだ。
…どことなく、ヒロミに似た雰囲気をまとっていると、僕は思う。
誰かと一緒にいたいけど、1人になりたい…。そんな気分の時は、ここに来るのが習慣だ。
そんな回りくどい言い方をしなくても、ここに来る時はだいたい決まっているのだけれど。
…明日可を強く、想った時だ。



