……………
学校のスロープで、僕は声をかけられた。
「あら、須川じゃない」
長いパーマのかかった髪を、今日もひとつにまとめている。
ヒールの音が、夕焼けに響いていた。
「…先生」
ニコッと笑い、彼女、白河先生は僕に近付いてきた。
「なぁに?今日もお昼寝?」
「もうそんな時間じゃないでしょ」
「それもそうね。…じゃあ、今日はどんなご用事かしら?」
スロープの先にある医務室を指差し、彼女は言った。
「や、さっき指紙で切っちゃって。絆創膏もらい来た」
レポートをカバンから取り出した時に、紙の端で切ってしまったのだ。
まだジンジンと痛む僕の指先を見ながら、白河先生は呟いく。
「舐めてれば治るわよ」
ふふっと笑い、彼女は僕の横を通り過ぎた。
「あたしこれから事務室行くから、勝手に絆創膏取って行きなさい」
僕はペコッと頭を下げて、医務室へと続くロープを降りていった。
「あ」
彼女の声に振り向く。
スロープを登りきった彼女は、僕に向かって言った。
「お部屋にお客様来てるから、起こしちゃだめよ」



