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桜の花ももう終わり、桃色の景色は青々とした緑へと変わっていた。
学校の外で行われるサークル勧誘のビラ配りも、そろそろ下火になる5月の半ば。
僕は、下手くそなトランペットの響く廊下を、レポートを握りしめながら歩いていた。



…僕たちが別々の道を歩み始めてから、もうこれが3度目の春だ。

足を止め、窓から見える中庭を見つめる。

…3度目の春。







結局地元に残ったのは僕とカズだけで、ミキは関西、誠二は九州、一年遅れてタケも関西の大学へと行った。
当然昔の様につるむことは不可能で、今では、たまに帰ってくる長期休みの時に飲みに行く程度だ。
ミキに関しては、高校を卒業してから、大学一年の夏に一度会ったきりだった。


…こうして少しずつ、違う世界ができていくんだ。


寂しくないと言えば嘘になるが、それはそれで仕方のないことだと割り切っていた。















…明日可を除いては。