…明日可の胸には、大きな傷があった。
明日可の過酷な闘病生活を表すのに、この傷は充分すぎた。
うつむいた僕はぐっと唇を噛み締める。
そんな僕を、膝立ちになった明日可がそっと抱きしめた。
直に感じる、明日可の体温。
僕は、明日可の背に手を回した。
…ひとつになることが許されない僕等にとって、これが精一杯の距離だった。
僕は明日可の傷に口づける。
明日可の肩が、微かに動く。
…それだけだ。
僕等に出来ることは、それだけだった。
僕等は強く抱きしめあう。
このまま2人、溶け合うくらいに…。
強く、抱きしめあった。
言葉を交わさず、体が交わることもなく…
僕等は、ひとつになった。



