看護師さんがいないことを確認しながら、僕はゆっくりと椅子に座る。
「や…、なんか無意識に…」
「隠れる必要なんかないのに…」
「だよな…。泊まっちゃいけないことなんかねぇもんな」
…2人は目を合わす。
どちらからともなく、僕等は吹き出した。
「ははっ、何やってんだ俺」
「もう…っ、大事な話してたのに、台無しだよっ」
暗い病室が、小さな笑い声で満たされる。
糸が切れた様に、僕等は笑い続けた。
…ようやく笑い終えた明日可は、ふうっと息をついて言った。
「なんか…、すっきりしたな」
明日可の声に、僕も笑いを止める。
「こんなに笑って…。なんか、すっきりした。だって、泣きそうになるくらい深刻な話してたのにこんなに笑えるんだよ?…笑ってみたら、案外なんてことなかったりするんだね」
明日可の目が、僕を見つめる。
その目はもう、濡れてはいなかった。
「…うん、行く。行くよ、アメリカ」



