自分をしっかり見つめて、そこから逃げない。
僕は、今までそれができていなかった。
問題を全て明日可やミキにすり替えて、自分の現実からはひたすら逃げていたんだ。
…でも、もうそんなことはしない。
1つ1つ自分を確立していって、少しずつ自分に自信をつけていって、それでいてようやく明日可を守れるんだ。
そのことにようやく、気付けたんだ。
「…頑張ろうな」
ヒロミが力強く言う。
僕もしっかりと頷く。
…『頑張れ』じゃなく『頑張ろうな』と言ってくれるヒロミは、やっぱり凄く心強かった。
…「…どうだった?個人面談」
廊下の壁にもたれかかって、カズが僕を待っていた。
「うん。進学に決めた」
「そっか」
廊下に置いたカバンを持ち上げて、カズは言う。
「どこ受けんの?」
「…まだ決めてない」
「ふーん」
廊下を歩き出す僕たち。
…カズは、何も変わらない。
あんな事があった後も、何も。
変わらず、一緒にいてくれる。