「…なにしてんだよ、お前」
土に汚れた僕のGパンを見つめながら、声を震わせる。
「…死ぬつもりだったのかよ…」
目を見開いた僕に、カズがつかみかかった。
「死ぬつもりだったのかって聞いてんだよっ!」
…カズの、こんな大きな声は初めて聞いた。
胸ぐらを掴みながら、カズは俯いて呟く。
「…なんで…なんも言わなかったんだよ。俺にくらい言えよ…。俺…お前にとって、その程度の存在なのかよ…っ!」
僕を突き飛ばし、駆け出すカズ。
それに続き、タケと誠二も駆け出す。
目元を拭う誠二。
すれ違い際に、タケが僕の肩をたたいた。
「大丈夫だから」と、言っている様な気がした。
…涙が出そうだった。
裏切らなくてよかった。
こんな大事な奴らを、裏切らなくてよかった。
…足音が遠ざかる中、ロビーにいるのは、僕の家族だけになった。



