コスモス



病院の入り口は開いていた。

僕等は足を踏み入れる。


「明日可…っ!」


自動ドアの音と同時に、おばさんの声がロビーに響いた。

おばさんだけじゃない。

…ロビーには、みんながいた。


駆け寄ってくる明日可の両親。
安心して泣き崩れるミキの肩を支える、誠さん。
しゃがみ込むタケと誠二の隣で、膝に手をつくカズ。

そして、僕の家族がいた。

…みんなが、僕等を待っていた。


「明日可ちゃん、とりあえず検査室に」

握った手を離し、明日可は斎藤先生に連れられて行った。
後に続く明日可の両親。

…正直、僕はおじさんに殴られると思っていた。

でもおじさんは、僕の肩に手を乗せ一言呟いただけだった。


「帰って来ると、信じていた」







…明日可達が行った後、近付いてきたのはカズだった。

いつになく真剣な顔。
僕は、目をそらさなかった。

ゆっくりと、カズが口を開く。