僕も自分の単純さにいい加減呆れていた。
彼女の彼氏の存在。それは僕にとって、目下の大問題のはずじゃなかったのか。

「でも、誘ってきたのは瀬堂なんだろ?」

頬杖をついたままカズが言った。
仕方なく僕は「ああ…」と返事を返す。

「瀬堂も何考えてんのかねぇ。品定めしてんじゃねぇの?その彼氏と、修平と…」
「彼女はそんな奴じゃねぇよっ!!」

…目の前にかなり驚いた顔のカズがいた。
自分でもびっくりするくらいの大声だった。

教室が一瞬静まり返る。


「何?どったの?」

様子を察して近づいてきたのはタケだった。
僕ははっとして視線を泳がす。

「いや…」
「ごめん」

カズが少しばつが悪そうに謝ってきた。
タケはそんな僕達を交互に見ていた。

「…いや、わりぃ、大声…」
「いや…まぁ、そんなことする奴には見えなかったしな。何か事情があるんじゃねぇの?」