僕は軽く頭をふった。
何も迷うことはない。
何を無くしてもいい。
明日可だけは、失いたくないんだ。
…永遠に。
握る手に力を入れる。
どちらからともなく、僕等は唇を重ね合わせた。
最後かもしれない明日可の温もりを、僕は全身で感じる。
永遠に、明日可と共に。
…例え、温もりを無くしたとしても。
僕は、足を進めた。
明日可も、それにならう。
一歩一歩、暗闇へと近づいていく。
…漆黒の闇は目の前に広がり、風が僕等を誘う。
踊るように揺れる木々が、僕等を柔らかく受け入れてくれる様な気がした。
じりじりと、縁へと近付く。
不思議と恐怖は無かった。
きっと、手を握っているからだ。



