コスモス


明日可の手に、力が入るのがわかった。
僕は、ゆっくりと明日可に話しかける。

「何か…言いたいこと、ない?」

一瞬僕の方を向いたが、すぐに前に向き直り言った。


「…色々、つらかった。」


ゆっくりと、言葉を選ぶ様に話す明日可。

「病気見つかって…、苦しいことばっかりだった。毎日心は泣いてた。…でも…」

明日可と、目が合う。


「でも…、シュウと出会えた」


見つめ合う2人。


「それだけが、あたしの誇り。だから…やっぱり、親には感謝してる。こんな体でも…産んでくれたこと、感謝してる」

前に向き直った明日可は、遠くを見つめながら呟いた。


「…ごめんなさい…。お父さん…お母さん…お兄ちゃん。ごめん…ミキ」


…僕は、何も言えなかった。


カズを、タケを、誠二を。
父さんを、母さんを、姉ちゃんを。

僕は、裏切ろうとしているんだ。

…明日可と、一緒に。